1999年、まんざらが祇園に出店することとなった。僕にとっても、京都祇園では初めての仕事でした。
土地柄、お茶屋や料亭が多く、客筋もそこそこ高い年齢層である。まんざらは客層が若いので、このエリアまで来ることは難しい。従って、新たな祇園の顧客をつくらなければならない。といって、業態は居酒屋のため、あまり高級に構えるわけにはゆかない。そこで、この店は「大人の居酒屋」と位置づけて、祇園ではほとんど見られない、面格子の間から、中の様子がチラリと見えるようにデザインし、入りやすさを演出しました。
奥の庭をライトアップすることにより、カウンターを通して、中の客のシルエットも外から見えて、中のにぎわいも感じられるようにしました。
この店に来るまでに、祇園の町並みを思う存分満喫し、その上、元お茶屋の建物の中で、リーズナブルな食事でリッチな祇園を味わうことができる、大人にとっては重宝なお店のポジションが得られたのではないでしょうか。
杉木源三