昨年から今年にかけて、私の仕事の中で住宅・店舗を含め、リフォームの仕事が増えています。
今の時代を反映した仕事だと思いますが、施主の要望は「古くなったので、とにかく新しくしたい」「イメージを変えた店にしたい」等々から始まり、予算の問題で、全体はリフォームできないが、部分的に考えてほしいということになります。施主のイメージの中には、できるだけ現状を利用して表層の仕上変更で、計画予算内で仕上たいという気持ちが見て取れます。
デザイナーの立場からすると、全体をさわらせていただけるに越したことはありません。しかしもう一方では、予算内で施主の満足を得られるリフォームを成し遂げることも、デザイナーの能力が問われるところです。
また、施主はリフォームをネガティブに考えていますが、壁を取り払ったり、柱の位置を変更したりしても、それほど金銭的には負担にならず、効果的なリフォームをすることができます。それこそがデザイナーを使っていただく意味のあることだと考えます。
リフォームを終えて、「あの部屋がこんなに変わるとは思わなかった」とか、「お客様に好評です」と言っていただけると、デザイナーの仕事も全て新しい空間をデザインすることだけでなく、既存の空間のどこをリ・デザインし、どこを残すのかという、メリハリを効かせるデザインをすることも、今こそ時代にあった、求められる仕事だと感じています。
リフォームを考えていらっしゃる方は、ネガティブな自分の考えだけで施工業者に直接依頼されるよりも、一度、誰か信頼のおけるデザイナーに相談されてはいかがでしょうか。相性が合い、能力が十分引き出せれば、決して無駄な出費にはならないと思います。どうせなら、アイデアの詰まった、満足のいく空間に住むため、または営業するためにポジティブなリフォームの選択をお薦めします。
杉木源三