1993年、デザイナー、作家として広い分野で活躍されている深井和子さんのご紹介で、約束屋 源満というお店をデザインさせていただきました。素朴で温かな、そして楽しい空間というのがデーマだったと思います。
深井さんの書、絵、その頃作り始めていた紙粘土のお面や、猫のオブジェなど、楽しいものたちを空間にちりばめて、土壁と柱、梁、壁の下地のように竹で組んだスクリーンなどを配して素朴さを演出し、カウンターの照明は、また自分で和紙を樹脂でサンドイッチした素材と縄で手作りしました。
空間のあらゆる場所に手作りされたものがあるため、京都弁で言う「ほっこり」温かい空間になったと思います。最初の段階で「あーしよう、こーしよう」と深井さんと打合せをし、「よーいドン」で物作りと空間作りを始め、でき上がったところで両方を合体させる。本当にイメージが共有できていないと完成しないプロジェクトでした。今はもう見られないのが残念です。
杉木源三