2000年、河原町二条を上がったところに、「まんざら本店」のデザインのご依頼をいただきました。
聞くところによると、この物件はマンションを計画されていた家主さんが、同じ敷地にある、ご両親の思い出のある町家は残したいと思われ、お知り合いを通じて、まんざらさんなら大切に使ってくださる、ということでお声がかかったということでした。
1Fは内部が改装されていたので、一度スケルトンにし、建物の木組みをそのまま仕上げとすることにしました。厨房を玄関側に配置することにより、調理の活気が直接表や来店客に伝わるように考えました。建物には中庭があり、その奥に蔵がありました。その蔵は2Fの床が古くなっていたため撤去して、吹き抜けの贅沢な個室としました。2Fはほとんど現状のままを残し、土足で上がれる階段をつけかえ、2Fで靴を脱ぐようにしました。また、このお店の照明器具も手作りしています。そして、庭を中心に、ホール、セミホールなど、パーティにも使える空間から営業がスタートしました。
「まんざら本店」という名前は、家主さんの長く残したいという思いを尊重し、建物、立地とも本店として残すににふさわしいと考えられて、命名されました。後にまた紹介いたしますが、このお店もさらに大人の店へと改装されます。
杉木源三