2002年、ホテル グランヴィア京都の、デザインコンペへの参加依頼がありました。このコンペは、ホテル6Fにあるカラオケラウンジの全面改装のデザインでした。参加方法は2通りあり、自由企画及びデザイン提案と、立ち上げスタッフとのミーティングにより、スペースの有効利用を提案・デザインする2者選択でした。
僕は後者を選択し、スタッフとのミーティングが始まりました。当初は1Fの直営飲食店の満席時のお客様を6Fで受けるという計画でした。しかし、せっかく6Fのエレベーターを含めたワンフロアー全体が使えるのに、予備室的な計画はもったいないと思い。フロアー全体を屋敷とし、洋食も和食も受け入れられるようにし、ホテル側が利用をアピールするのではなく、上顧客のゲストハウスとし、あらゆる想定できる利用を可能とする機能を備え、顧客がスペースを見て、利用を企画できるように提案しました。
空間構成は、エレベーターを降りるとエントランスホールがあり、屋敷の門があり、それを抜けると右に洋式のホール、左に靴を脱いで上がる座敷に小和室が1室、和室が2室、この2室は間仕切りをとると、大広間となるようになっています。そして、堀炬燵にも畳敷き和室にも切り替えられます。
この案が、スタッフにも受け入れられ、細部、詳細を詰めデザインは完成しました。
その後、役員プレゼンテーションを経て、最終選考に残り、この案が採用されました。それまで、一緒に作り上げた企画、デザインを、同じスタッフで造り上げる事が出来た事は楽しくもあり大きな喜びでした。その上、屋敷の名前も依頼を受けたので、「顧客に粋に楽しんでもらう」という意味で、「楽粋」と名付けさせていただきました。
コンペもついこの間と思っていましたが、もう10年が過ぎました。今も、変わらず営業を続けていただいていることは、本当にありがたいことです。
杉木源三